Terminal対談 : 中村佑介のイラスト教室 その3

『中村佑介のイラスト教室』が受講生に伝えたいこととは?

Terminal対談 : 中村佑介のイラスト教室 その3
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Terminal対談 : 中村佑介のイラスト教室 その3 Written - Terminal



イラストレーター、中村佑介による『中村佑介のイラスト教室』が受講生たちに知ってほしいこと、中高校生をはじめ未来のイラストレータたちへの想いを語る第3回。


イラスト教室を通じて知ってほしいこと、伝えたいこと

中村 :「落書きから1枚の作品に」っていう風に化けるのは時間がかかるだろうな、という場合もあるけれど、ある生徒さんで、実は最後まで選出するかどうか決めかねていた人がいて、まあ受講することになったのだけど、課題提出までに2か月時間がある中で「1か月目までにラフを見せてくれたら良いよ」と言っていたんだけど、その子は授業が終わってから1週間くらいでラフを送ってきてくれて。他の人たちより1か月くらい早く。それで、最初の絵を見たら、到底買わないレベルだったのが、”買える絵”を越えて、”買いたい絵”になっていた。1か月でそれだから、先生だから嬉しいんだけど、、それ以上に、その本気になる過程にびっくりしたね。。「僕も1か月でこんなに変われたことないぞ!」っていう(笑)

滝本 : ブログでも紹介していたりするけど、ここまで集中力で変わるのか、と。

中村 : そう、その子は確か21歳くらいだから、教室の中ではとりわけ若いわけではないんだけど、例えば21歳の自分より16歳の子の方が完成度の高い絵を提出していたりする事実って結構ショックだろうし、これがネットでものすごい絵の上手い素人がいるとして、それが自分より年下っていうのは、まだどこかで「信じきらなくて良い仮想現実として蓋が出来る」っていうか。でも、同じ空間で同じ授業を受けているやつがそうだとしたら、それって凄くブースターとして働くんよね。「自分だって本当はまだまだ出来るはず!」っていう可能性を見出してくれるようなところを教えないといけなくて。授業を通じて、というか、「こういう教室がある」という環境を通じて、その子にはブースターが備わったんだと思うので。だから、勉強になるよ、僕も。ネットってなんでもできると思ってたら、やっぱ出来ないこともあるな、っていう。

滝本 : 自動車と一緒で、車の力って自分のそれと錯覚しちゃうから、授業のあの雰囲気の良いところは丸裸にされるところやね。正直になれるというか。

中村 : それこそ、いきなり高速道路にほっぽり出されるっていう(笑)45km/hとかで走ってたら怒られるっていう。それと、やっぱり普通のイベントみたいな感じだと考えられないような長い時間の授業で、みんないろんな場所から来て、もともと友達同士の人っていうのもいないし。でも仲良くなってるよね。特に女の子たちは、、あの協調性、見習いたいわ!(笑)やっぱり、仲間や友達はいた方が良いもんね。同じ時間でも、心強いし楽しいし。

滝本 : そう、授業の後にも話すようになったり、とても仲良くなってるよね。

中村 : 今までなれるかどうかわからなかったり、イラストレーターになる、というのが夢のまた夢で、親しい友達にも恥ずかしくて言えない、っていう子たちがほとんどだったわけで、同じ気持ちの知り合いっていうのがネット上にしかいなかったり、それが教室という場所でその子たちが目の前に現れる、っていうのは、、羨ましいけどね(笑)僕も美大ではみんな就職する、っていう子たちばかりだったもの。そういう子たちに話しても「何青いこと言ってんねん」って。

滝本 : プロのイラストレーターになってから周りの作家とそういう気持ちを共有できた、っていうのもあるでしょ?

中村 : あるね。(なってから)初めてちゃうかな(笑)だから、今そういう青っぽい時期を過ごせるっていうのは羨ましいよね。もう僕は体験できないもの。それに、もし将来プロのイラストレーターになっても、違う職業に就いたとしても、同じようなことを若い人にしてあげたくなると思うので。その時に、会場とか仕組みとか調べた時に、artyardは何てバカなことやってたんだ、って。結局、できる会場がないってことに気づくわけ。「なんだったんだあの人たちは!?」っていう(笑)。

滝本 : まあ同じことをしなくていいし、無料が全て良いとは思わないけど、みんなが何かやろうと思った時に、どうやったら出来るかを考えると思うので、そういう時に思い出してくれればいいんじゃないかなと(笑)。皆さんにも後輩とかできると思いますし。ただ、実際にどんな教室なのか、怖いんじゃないか?とか、来てみないと色々わからないと思うので、それで見学ができるということで。全然ピリピリしてないですけどね。そこは安心してもらえたらいいな、と。

受講を希望される方へ

中村 : まあとりあえず、気になるなら見学もできるのと、途中退席も可能ですし。「ジュース飲みに来た!」でもいいし。応募してみようと思っている人は、僕の画風を目指して、身に付けたい人はあんまり意味はないかな、と思います。そういう教室ではないし、プロのイラストレーターを目指すにもそれぞれの人にできることがあって、それぞれ僕から違う課題が出るので。

滝本 : でも、もし中村くんに影響を受けていても、授業を受ける目的がフィットすれば歓迎、っていうことですよね。

中村 : うん、そうそう。それは全然オッケー。授業は基本的に和やかだけど、ただし長いから、見学の人とかは座布団持ってきたらいいよ(笑)ゴザでもいいし。あとはね、女子が多いから、男子にはオススメよ(笑)男の子ももっと応募してくれても面白いかな、って。だって男の子の描く絵と女の子の描く絵って、やっぱり違うから。

滝本 : そっか、学校だったら女子に気軽に「絵見せてよ」って言えないもんね。

中村 : まあ、ほんと、上は40代から下は13歳とかなので、楽しいと思うよ。

滝本 : これはもうハッキリといえば、「イベント」じゃないんです。

中村 : イベントじゃないです!教育以外の何ものでもない、っていう。

滝本 : そこをなんとか、知っていただければ…(笑)

中村 : 大阪で市のカルチャースクール以外、「イベント」以外でプロがそういうことしている所ってないので。こちらとしては、続けていくことで、わかってもらう、というのもあるよね。

滝本 : アートヤードとしては、もちろん常時イベントもやってますし、昨夜も東京から来たアーティストのワンマン公演がガチっと行われてましたけど、もともとコミュニケーションが取れることがコンセプトの場所なので、教室のような学びの場でもそれは同じかな、と思っています。

中村 : 教室に来てる子とか、卒業した子は、音楽好きな人はライブに来たりとか、展覧会もあるわけだから見に来たりとかもできるし。絵が上手くなるのは何かっていうと、結局は活動の幅を広げたり、人とコミュニケーションをとったりすることが目的だから。ここはそれこそ、お洋服作ったり、絵描きもいるし、ミュージシャンもいるわけだし。

滝本 : まあ、自発的にテンションを上げていったり、本格的に活動していくなら自分でもスケジュールを立てていくものだと思うので、まあここは、いつでも、その先として、何かしたい人はできますよ、という感じではありますけども。そんな場所が一つくらいあってもいいと思うので。

中村 : これがね、なかなかないから、こういう場所は。なくなってから初めて気付くぞ~って(笑)。あとは公民館とか、そういうとこしかなくなってくるで?

滝本 : ..まあ、僕は自分の「あったらいいな」で好きでやってますけども、理想的なアティテュードで作ったら作ったでやっぱり「本当にそんな場所あるの?」とか、先ほどの話ではないですけど、どこかで信じられないところがあると思うので、実際に来てみて体験してほしいですけどネ。幻じゃなかった、みたいな。

中村 : 来て、見ないとわかんない。8時間の合評含む教室なんか、動画でアーカイブできないし(笑)あっても面倒で見ないしね。なので、気になる方は見学からでもいいので、興味があれば来ていただければと思います。

滝本 : はい。本日は、ありがとうございました!

中村 : ありがとうございました!

Info

中村佑介のイラスト教室

イラストレーター・中村佑介がartyard studioで定期的に行っている、年齢を問わず、美大生、専門学校生以外で「イラストがうまくなりたい!」「将来イラストレーターになりたい!」という方を対象とした講演会・作品添削会です。開催の際、新しく受講される生徒の募集は中村佑介サイト・Twitterでも告知されます。現在の第三回イラスト教室の生徒受付は終了しております。時期生徒募集(見学者含む)は中村佑介Twitterならびにサイト、artyard studio Twitterなどでお知らせいたします。

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